"ヨルマニア"

　ミニアルバムの名手トモフスキー爆発！　dohbが無くなっちゃって路頭に迷うかと思われたトモフスキー、突然個人レーベル「ファミレスレコード」を立ち上げて適当にリリースされたこの作品、僕の生涯の一枚にも入る勢いの名盤。ここでのトモフスキーは人間関係を皮肉に見つめる彼でも、"ORANGE FICTION"で垣間見せた物語の語り部でもなくて、ほぼ完全に１人の世界、１人遊びに徹している。それがあまりにらしくてピッタリはまっていて、いつも見てるようで見たことなかったような新たなトモフスキーの側面を見つけた感じ。ここらへんはその意味で、「ダレガクルノ？」だけ浮いてる気はするけど、それ以外の曲は本当完璧。実際ファミレスでの食事を録音、垂れ流しの上にミニマルな歌が入る「ファミレス」、「カンペキなヨナカ」「カンタンが降ってるんだ」は歪んだギターが耳に心地良い、手法的には当時の流行でもあったポストロックといえばそのような、でもそうじゃないような。どちらにせよ聴いていて安心してどこかへ行っちゃえそうな不思議なポップス。これを初めて聴いた時のインパクトは本当に計り知れない。歌詞が良いとかそんな表面上の意味だけでなく、本気で一生TOMOVSKYを追いかけようと思わせてくれた一枚。