10年前

 京都で練習後、大阪に帰ってケン宅で酒飲んだり色々やって、ふと思い立って震災の特番を見た。あのころニュースや新聞で見た光景を思い出した。覚えてるつもりがったけれど、実際にはほとんど忘れてた。10年って月日は短いようでやはり長い。それどころか、10年目にして初めて知るところも多かった。神戸、特に三宮といえば田舎小豆島への中継地点ということもあって、物心ついたころには海側なら迷わず自由に歩けたし、それだけに親近感もあった。つもりだった。なのに、小豆島行きのフェリーの乗り場が何故オリエンタルホテルになったのかも、その特番を見て思い出す始末だった。いつも船に乗ってたメリケンパークがあんな風になってたなんて僕は知らなかったし、センター街、元町商店街があれほど酷く崩れていた光景など、まったく見ていない。確か震災後初めて神戸に行ったのはその半年か、一年後だったと思う。あの時初めて大阪から神戸へ自転車で行ったので良く覚えている。あの時はすでに商店街は更地になってた。船着き場が変わってた。二号線沿いにはまだ崩れたままのビルが多く残ってた。仮設住宅が並んでいた。更地の商店街ではマクドやその他の店が露店を開き、元気よく商売をしていた。それで分かったつもりでいたけど、それは復興中の姿であって被災時の姿で無かったことがよくわかった。これだけ近いところにいて、10年経つまで知ることがなかったというのも無責任な話だけど、たぶん10年に1度この日でなきゃ、この実感もわからなかったんだろうと思う。ケン宅からの帰り道、普通にアスファルトの上を自転車で走らせるのが凄く怖かった。
 起きたら、夕方からSINGLESに入る時間になるまで、神戸に行こうと思った。