はてなダイアリーが選ぶ名盤百選

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 やはりこういった一人一枚で回して行くという企画。「思い出盤」な選盤をしている方も多いですね。というわけで、僕も思い出盤。カーネーション、"天国と地獄"です。
 「カーネーション」というと、「ポップスバンド」と呼ばれるか「ロックバンド」と呼ばれるか、その差はこのアルバムの前を聴いているか後を聴いているかに左右される、と言っても良いんじゃないでしょうか。このアルバムでベース大田譲氏が加入し、初めて五人になったカーネーションですが、この瞬間の五人は、カーネーション史上後にも先にもない、もっとも突き抜けていたように思います。このアルバムで聴けるのは、ただ「甘い」だけではない直枝ボイス、楽曲、歌詞。突き抜けた棚谷氏のコーラス。ライブ以外では比較的「刻む」イメージだったのが覆るほどの、矢部氏のドラム。「愛のうわばみ」等で歪みまくった鳥羽氏のギター。そして岡林信康島倉千代子をカバーしてしまう、バンドしてのふてぶてしさ。間違いなく、「ロックバンド」カーネーションの集大成だと思います。この時期のライブを聴いてみたかったなあ。
 僕はムーンライダーズつながりでカーネーションを知ったのですが、たまたま近くのツタヤに全部揃っていたため、なんとなく借りたアルバム、それが当時ベスト盤として出ていた"MELLOW MY MIND"と、この"天国と地獄"でした。評判良かったと言う理由だけでレンタルしたこの"天国と地獄"でしたが、よりによって一緒に借りた"MELLOW MY MIND"との対比でより強くダークな面を見せつけられてしまい、当初はカーネーションというバンドのイメージが混乱しがちでした。が、交互に聴いてる内にそのギャップが快感になっていき、徐々にはまっていったでした。当時は高校生。それも終わり頃でモロ受験期。わざわざ勉強するために図書館まで自転車で行ってたのですが、道中に一番よく聴いていたのもこのアルバムです。一曲目「オートバイ」から、受験期の寒空、それも自転車上のBGMとしてなんともぴったりで。またアルバムとして一連の流れが良い作品なもので、途中で止める事が出来ず、速く漕げば15分、どうゆっくり行っても30分の道のりを、わざわざ遠回りしながら64分かけて走ったりしてました。「学校で何教わってんの」なんて聴いた頃には勉強する気はどっかに行ってしまい、「The End of Summer」「世界は回る」「天国と地獄」の一連の流れで賑やかにサワヤカに終了。アルバム全部聞き終えた時の達成感と言ったらもう。こんな状態で、勉強なんて出来るはずがない。それを浪人してからも続けたもので、結果はわかろうというものです。
 私事ばかりになってしまいましたが、音楽的にも間違いなく名盤で、ロック好きな方、カーネーションといえば"Edo River"から、という方は一度聴いてみてはいかがでしょうか。特に「未確認の愛情」「おはよう」はカーネーション史上に今でも残る名曲だと思ってます。ちなみに、ジャケは、あえてWAXの方を取り込んでみました。現在は徳間からre-issue盤が出ていますが、こちらの方、WAXの原盤とは曲間が違うのです。WAX盤の全部つなげて後からぶった切りました、といわんばかりの乱暴な曲間加減が好きでして、逆にライブ感というか臨場感が感じられます。割と中古屋で見かけたりしますんで、見つけた方は是非。

 そんな感じで。二晩も遅れてスイマセンでした。次は、関西音楽ファンつながりで豊島さん(id:tmsgksk)さんにお願いしようと思います。宜しくおねがいします!